極悪女王(1〜2話までの感想)
Netflixで2年のクランクインを経て配信された「極悪女王」というドラマ。スポンサーを挟まないNetflixだけにやりたい放題のバイオレンス描写が目立ち、地上波とは一線を画する作風や趣を感じた。さすがに流血シーンはないだろう(いくらプロレスラーの試合とはいえ相手は女性同士なのだから)と甘く見ていた私の配信前の期待は良くも悪くも裏切られた。主演となるダンプ松本や長与千種(唐田えりか)、ライオネス飛鳥(剛力彩芽)などがメインキャラとして終始登場するが、この3人の女性プロレスラーによる熾烈な戦いがなんともいえない。もはや試合の枠を超え、「喧嘩」「死闘」の域にまで突っ込んでいるからだ。その際の流血シーンもやけに生々しい。さすがNetflixのドラマだなと感じさせる描写だ。
モデルは既出の通り実在する女性プロレスラーの長与千種とライオネス飛鳥、ダンプ松本。あまりクラッシュギャルズの通称で呼ばれていた時代の人間ではないためかこの2人の名前を聞いてもいまいちピンとこない。そもそもプロレス自体、ぶっちゃけると興味も関心もない。でもこのドラマは、プロレス試合だけに収まらない濃密なストーリーがある。それは良くも悪くも人情味があり、ヒューマンドラマ系としての性格も帯びている。プロレスを目指すかパン屋でコツコツと稼いでいくような人生を歩むのかそのゆりやん(ダンプ松本)の葛藤が主に1話全体を通して描かれている。特にゆりやんの家庭環境は決して良くないもの。家族の財産を溶かして娘のプロレスラーを目指すという夢や女性としての尊厳を踏み躙る父親、それが限界に達して父親を家の外にまで豪快な体当たりでぶっ飛ばしてしまうゆりやん。妹と母親との家族仲は良いものの父親が飲む打つのろくでなし人物のため、借金は常に背負わされている。
しかしゆりやんはアルバイト稼業よりもプロレスラーになるという夢を捨てずにプロレスのオーディションに応募し厳しい身体訓練や実技テストなどを行い、見事合格を果たした。その後も練習生として日々厳しい訓練に明け暮れる。その中で出会った長与千種(唐田えりか)との友情や絆を通じて少しずつだが強くなっていく。そんな彼女たちの成長過程を見守るのもこのドラマの1つの醍醐味と言えるだろう。時には先輩女性プロレスラーによる酷い仕打ちやパワハラを受けながらもそれを耐えきり、徐々に殻を破っていくその姿はまさに強靭なハングリー精神の持ち主と言わざるを得ない。
彼女たちはなぜそこまで頑張れるのか。それには2つの理由がある。1つはゆりやんに限るが、彼女は幼い頃に応援していた女性プロレスラーであるジャッキー佐藤の背中を追い続け、ジャッキーの試合に感化されてプロレスラーを目指すようになったという明確な理由がある。ジャッキーはゆりやんにとっての憧れだったのだ。そしてもう1つ。彼女たちの先輩にあたる女子プロレスラーが何人か登場するがコイツらが中々良い味を出している。後輩に理不尽な言いがかりをつけて暴言を吐き、試合にその鬱憤を晴らそうと後輩(主に長与とゆりやん)を徹底的に痛めつける。しかしそんな後輩2人も黙っているはずがなく、ある試合で調子づいていた先輩に本来はプロレスにおいて反則となる「空手技」を行使し先輩をねじ伏せた。それはもはや試合という光景ではなくさながら「喧嘩」の様相を呈していた。その一件により、長与とゆりやんは相手に与せず、自分の意思で戦うことの必要性を強く感じるようになるのだ。
そして第2話の最後・・。長与千種VSライオネス飛鳥のデスマッチが開始され、ゴングが鳴り響いた瞬間、2人による熾烈な戦いの火蓋が切って落とされた。長与は反則技にあたる空手を遺憾無く行使し最初はレフェリーも止めたが相手のライオネスも負けじと応戦し、それがデフォルトの光景となった会場では観客による興行は盛り上がりを見せ、ある種の「試合」として容認されるものとなっていた。結果、2人は疲弊がたたりその場で倒れ込んだ。これを横目で見ていたゆりやんも感化されたに違いない。
今後ゆりやんが2人に影響されてどのような心境の変化をもたらすのか、楽しみである。
